- 煙草入 -
1492年コロンブスはアメリカ大陸を発見し、そこの原住民から梅毒とタバコを
故国イタリアに持ち帰ったという。
この航海探検家の土産は西欧社会に燎原の火となって広がり、
またたく間にアフリカ、東洋にも波及、煙草は”鉄砲伝来”とほぼ軌を一にして
日本に上陸したらしい。
そんなわけで喫煙は江戸初期には慣習化したものの、
煙草入れをこさえて各人が所持するようになったのは、
喫煙者の増加する江戸中期頃と見られている。
(当時風習として定着した煙草のスタイルが”刻み”だけだったという問題は
日本の文化<民族性>を考察する上で重要な鍵となるともいわれている)
煙草入れもコレクターが多く、いい物が入るとすぐに売れてしまいます。
煙管だけだと今でも使っている人がいるみたいですね。
金属と竹でできた日本製のものは、いつまでも長く使えます。
- 煙草盆 -
江戸元禄(1688〜1704)の浮世絵には煙草盆が多く描かれているわりに、
煙草入れは少ないという。
これは、煙草の風習が家中の思考から始まったことを物語っている。
煙草入れの変遷※と同様、煙草盆も多彩な形態が考案されたが、
基本的には火入れと灰吹き(吸い殻を打ち入れる筒)がセットになる。
現代でも男客の来訪の際にまず差し出すのは灰皿で
この作法は江戸に遡り、当時では煙草盆を出すのが客への礼儀。
(昭和62年の本なので少々古いです)
※煙草入れの変遷:
紙製(奉書紙や油紙)二つ折りのかます形、三つ折の袂落とし(後世の呼称)、
袂落に根付が加わった一つ提や銅乱形、煙管と組んだ腰差(筒差)などの
時代の流行、所持階層によって使い分けられてきた。
「こっとう図鑑」 光芸出版編より
煙草盆は様々なタイプがあります。
持ち手が付いているものは、家の中で持ち歩きます。
煙管置きがあり、デザインも女性向けの煙草盆のようです。
引き出しや蒔絵などなく、手頃なものも人気です。